台所にこの道具/宮本しばに アノニマ・スタジオ
料理についてのエッセイで、特に台所まわりの道具と絡めたものが好きだ。食べ物に関することだけのエッセイだと「おいしそうだなぁ」で終わるのだけれど、そこに道具にまつわるストーリーが加わると、とたんに面白くなる。
独り暮らしで自炊をしていた頃、料理と呼べる料理なんてほとんどできなかったから、日曜日、スーパーで1週間分の食材を買って、少しづつつくって食べた。つくったといっても、白米を炊いたり、乾麺をゆでたり、レトルトカレーを温めたり、とその程度だった。社会人になりたてのころは包丁すら使ったことがほとんどなかった。これじゃまずいと思い、野菜を切るくらいはするようになったのは割と最近のことだ。土瓶とか、鉄のやかんとか、そういう道具を、片っ端からとは言わないけれど、それなりのものを用意して使うようであったなら、もっともっと料理を楽しめただろうに、と今後悔している。
こだわりの道具の写真を見ていると、そんな料理に憧れる。もっと早く読むべきだった。