百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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愛さなくてはいけないふたつのこと

愛さなくてはいけないふたつのこと/松浦弥太郎 PHP文庫

 

辛い出来事から逃れたい。精神的にきついから、楽にいられるところに逃げたい。仕事でも何でも、そう思うのは、きっと私だけではないだろう。ただそんなとき、「辛さから逃げたいあなたに」を読むと、辛いことが恐れるべきものではなく、自分が成長するための試練だと思えるようになる。私は、読書を通して人間として成長したい。だからこの本は大きな支えになっている。

 

モノを抱え込むことに執着しているとふと気づいた時に、そうじゃないんだ、と慌てて手を放す。そんな気持ちになれたのは、「失いたくないあなたに」を読んで共感したからだ。モノは自分が所有しているのではなく、一時預かっているだけ。だから他人と共有して、その面白さ、気持ち良さを分かち合うことが大事。この世の中に自分だけで抱え込んで良い所有物などない。みんなにそれを差し出すから、その価値が倍増するのだ。

 

できれば関わりたくない、つきまとわれたくない、そう思う二つのこと、それは「寂しさ」と「不安」。この二つのことから、逃げずに、正面から向き合うための本。優しく励ましてくれるような語り口に、元気に過ごすための勇気が湧いてくる。これが読書の醍醐味の一つだと実感できる。