百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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最終講義

最終講義 生き延びるための七講/内田樹 文春文庫

 

「声に出して読みたい本」として「街場の文体論」と本書を挙げた(※)のは、著者のように自分の考えを他者に説得的に伝えられるようになりたいと思うからだ。大学の講義で先生が学生に対して話すように、自らの考えをすらすらとしゃべれるようになりたい。そのためには他者に「これだけは分かってほしい」と懇請する考えがなければならないし、それを分かりやすく伝えるためには自分の頭も整理しなければならない。

 

「生き延びるための七講」というサブタイトルのついた本書は、大学に限らず様々な場所で著者が講演したその講義録だ。特に「教育に等価交換はいらない」は、内田樹の考える教育論があますことなく語られていて、大好きだ。「教育は商品ではない」モノを買うのと同じ発想で教育を考えるのではなく、「まず与えるもの」「教える側のおせっかい」という視点に立つ。子供が教育を受けることによる受益者は子供自身ではなく、社会である。そうした長期的かつ広い視野をもって、学びというものに向き合いたい。

 

(※)

sarusuberi-to-taiyo.hatenablog.jp