百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

MENU

ベリーベリーグッド

ベリーベリーグッド/松浦弥太郎 小学館

 

一昨年まで、千葉の市川に住んでいた。休日のジョギングコースは江戸川の河川敷だった。なぜか、と聞かれると答えに窮する。信号が少なくマイペースに走れるから、とか、とにかくひたすら真っすぐ進めるから、という理由もあるけれど、川沿いはなんとなく気持ちよさそうだから、というのが正直なところだ。その気持ちを後押ししてくれるような言葉に出会ってからは、「水のあるところ」が好きだから、と答えられるようになった。後付けかもしれないが。

 

松浦弥太郎さんの直球エッセイ集に、「流れる水は先を争わない」というものがある。水に近い暮らしを気に入っているという彼に共感した。どんな形の容れ物にも入り込み、くねくねしながら自然に身を任せて進む水。そんな水のように時間に身を委ねて楽に生きられたら、といつも思う。私は松浦弥太郎さんのようになりたいんだ!と、彼の本に出会った頃は思っていたけれど、最近はそう思う気持ちすら肩に力が入る要因ではないかと感じるようになった。あくまでも気負わず、身軽に、流れに身を任せて。