百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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生きる哲学

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生きる哲学/若松英輔 文春新書

 

「喪う 『論語』の悲しみ」が好きで、何度も読んでいる。論語をきちんと読んだことはまだない。ただ、何百年何千年経ってもここに書かれていることは今日性を失わず、ずっと目の前を照らす言葉であるのだということは分かる。「古典の言葉は過ぎ行かない。過ぎ行くのは時代であって、言葉ではない。」と本書でも言っている。

 

本居宣長孔子を「聖人」ではなく「よき人」と呼んだという。よき人とは、もののあわれを生きた人。もののあわれを生きる人とは、あらゆる感情を、解釈せず、そのままに生きる素直な人のこと。ものごとを客観視するのではなく、まず自分がその感情を飲み込もうとする態度というのは、何かと他人を罵ったり、批判したり、当事者でないにも関わらず立ち入ったりするような態度とは対極にあって、だからこそ今日性をもっているのだと思う。