百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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もしわたしが「株式会社流山市」の人事部長だったら

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もし私が「株式会社流山市」の人事部長だったら/手塚 純子 木楽舎

 

大学では建築学科で学んでいた。設計は、できなかった。そのかわり私の関心は単体の建物をいかにつくるかというよりも、その集合体であるまちづくりに移っていった。研究室のインターンシップでは、大阪に泊まり込みでまちづくりNPOを学んだ。地域住民が気兼ねなく集まって憩える場所をどうしたらつくれるだろうか。それを、実際にNPOで仕事をさせてもらいながら、考えた。難しい理論はほとんど忘れてしまったけれど、一人一人が「暮しを良くしよう」と主体的に考えて、率先して行動するその気持ちが大事なのだと知った。

 

千葉県流山市。いま、人口増加率が日本一を誇るそうだが(著者から聞いて初めて知りました)、市川市に14年住んでいた私もほとんど訪れたことがなかった。つくばEX流山おおたかの森ではなく、ローカル線の流鉄流山線の「流山駅」。その駅舎に隣接する元タクシー車庫を改装して「machimin」という場所をつくった女性の話が本書だ。そこに集まる人が楽しめる場づくりという視点もあるけれど、それよりも、「その場所を皆で運営し、『好き』や『得意』を発信することで自立した人間を育成する」という担い手に着目している点が面白い。担い手としてワクワクし、参加したくなるような場所づくりを、学べると思う。今更だけれど、流山市に興味をもった。