大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実/仲村和代 藤田さつき 光文社新書
何年か前、節分の恵方巻が大量廃棄されているという現状を伝えるニュースを見た。昔は節分といえば豆で、恵方巻を食べるなんて文化は聞かなかった気がするから、節分=恵方巻という等式も比較的最近、つくられたのだろうと思う。コンビニやスーパーではこぞって販売し、売れ残ったら大量に処分する。そうなることくらい誰にだって分かる。
廃棄にかかるコストよりも、売り切れてより多く売れる機会を失うリスクの方が大きいと考えれば、たくさん生産するのは当然のこと。どうしたら良いんだろうね、と考えるけれど、スケールが大きいだけに難しい問題だ。自分一人が売れ残らないように買おうとしたって焼け石に水だし、「売れるからどんどん生産する」というサイクルづくりに加担していると言えなくもない。そもそも、処分コストを生産者側が負担するはずもなく、結局は売値に転嫁され、負担しているのは消費者なのだということを、人はもっと嘆くべきだ。
さしあたって自分は、気が向いた任意の日にコンビニに立ち寄って、そこでおにぎりが置いてあったら、その状況を当たり前だと思わないようでありたい。気が向かなかったら売れ残っていたかもしれないのだから。