百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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いつも本ばかり読んでいるわけではないけれど。

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いつも本ばかり読んでいるわけではないけれど。/早坂大輔 BOOKNERD PAPERBACK LIBRARY

 

本って、もしかしたら自分でつくれるのかもしれない。昔から、本をつくるためには大きな出版社と著名な著者が必要で、たくさんのお金をかけて印刷してようやく出来上がるというイメージがあったから、そう思うようになったのは自分にとって画期的なことだった。自分に何か強く発信したい想いがあるかというと、なかなか言葉にできないというのが現実だ。そしてそれを言葉にして代弁してくれるような本が、世にたくさんあることを私は知っている。それでも、本をつくって想いを伝えるという行為のハードルが低くなるというのは、良いことだと思う。それだけたくさんの人の想いに触れる機会が増えるということだ。

 

盛岡の本屋「BOOK NERD」の店主・早坂大輔さんが顧客向けメールマガジンで配信したエッセイをまとめたのが本書だ。本を売ることで著者の想いを伝えるだけでなく、メールという手法で店主自らの想いを伝える。そしてそれが結果として一冊の本になって残る。そうした主体的な行為に憧れたのが独立のきっかけの一つだったから、私はこの本が成立している事実に、地団太を踏んで嫉妬した。短いエッセイと、そこに登場する本。手作り感のある冊子に書かれた文字は良い具合に小さくて、美しく、読む欲をかきたてる。