店主所有古本 きれいな状態です。気に入ってくださった方には1,000円(税込)でお譲りします。
父親を尊敬し、慕い、大切にする男に、憧れている。カッコいい。そういうカッコいい男が、きっとのちに尊敬され、慕われ、大切にされる父になるのだとわたしは思っている。そういうカッコいい男には、息子を包み込んでくれる父親と同じ父性を持っているのだ。
「猫を棄てる」は、村上春樹が父親について語ったエッセイ。タイトルが刺激的だが、それは彼と父親との思い出の一つに過ぎない。それよりも、戦中に中国兵を処刑した話を息子に語り継いだ話や、息子との絶縁に近い関係を晩年に修復した話のほうが興味深い。父親が息子に想いを継承しようとしたように、著者はこの本で父親との関係性を伝えるという行為を通して、父性を表現したのではないかと思った。