百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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猫を棄てる

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猫を棄てる 父親について語るとき/村上春樹 文藝春秋

店主所有古本 きれいな状態です。気に入ってくださった方には1,000円(税込)でお譲りします。

 

父親を尊敬し、慕い、大切にする男に、憧れている。カッコいい。そういうカッコいい男が、きっとのちに尊敬され、慕われ、大切にされる父になるのだとわたしは思っている。そういうカッコいい男には、息子を包み込んでくれる父親と同じ父性を持っているのだ。

 

「猫を棄てる」は、村上春樹が父親について語ったエッセイ。タイトルが刺激的だが、それは彼と父親との思い出の一つに過ぎない。それよりも、戦中に中国兵を処刑した話を息子に語り継いだ話や、息子との絶縁に近い関係を晩年に修復した話のほうが興味深い。父親が息子に想いを継承しようとしたように、著者はこの本で父親との関係性を伝えるという行為を通して、父性を表現したのではないかと思った。