百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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覚悟の磨き方

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覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰/池田貴将(編訳) サンクチュアリ出版

 

自由が丘に越してきてしばらく経ってからのことだ。朝、自転車で松陰神社まで走ること習慣にしようと決めた。なぜ松陰神社なのか。運動にならないほど近くなく、めげてしまって長続きしなくなるほど遠くない(結局は長続きせず、最近は行けてないのだが・・・)。そんなちょうどよい距離だったことと、もう一つ大きな理由がある。吉田松陰の考えに触れて、学ぶことの尊さや志を持つことの重要性を知り、ここへ来たら彼を肌で感じることができるのではないかと期待したからだ。

 

松陰神社にお参りしたら吉田松陰になれる。そう考えるほど短絡的ではない。けれど、松下村塾を模した建物を見て、ここで彼が後進の指導にあたっていたのかと想いをめぐらせると、彼の指導を受けているような気にはなれる。それが仮に幻想であったとしても、ここに来ず何もしないよりは、成長できるように感じられるのだ。

 

彼の考えに本格的に触れたのは、この本がきっかけだ。毎月行っている美容院のマスターに薦められたと記憶している。毎日少しづつ良い行いを重ねること。ミスをして落ち込むのではなくすぐ次を見ること。たった一回負けたくらいで辞めないこと。ひとつのことに狂うこと。学んだらすぐに行動に移すこと・・・。「誰よりも熱く、誰よりも冷静だった天才思想家」吉田松陰の言葉が、分かりやすく訳されている。人を熱くさせ、人をつき動かす。言葉にはそんな力があるのだと、改めて感じる。

 

そういう言葉に触れ、そういう大人を目指そうとするとき私は、日々成長しようと学び続ける美容院のマスターと、松陰神社の参道が頭に浮かぶ。