百日紅と太陽

  真夏の太陽に向かって枝を伸ばし、花を咲かせるサルスベリのように。自分の成長を実感できるような読書体験を届ける本屋です。

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おじさんの京都

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おじさんの京都/京阪神エルマガジン社

 

個人ブログで何度か書いているけれど(※)、この本との出会いはちょっと特殊だ。大学時代の同じ研究室の友達が取材のアルバイトをしていて、京都の街のあれこれをまとめた本を紹介してくれたのが最初。単なる京都の街案内ではなく、そのお店の雰囲気、におい、味わって感じたことなどを、優しく語りかけるように教えてくれる。これを読んで私は京都を好きになったし、いつかまた行きたいと思うようになったし、けれど一方で、きっと自分なんかが馴染める街じゃないんだろうなという、高嶺の花と言うか、雲の上の存在と言うか、街から突き放されたような印象を受けた。だから、装飾のない京都の「本当」を知りたい人には、ガイドブックだけでなく、この本を読んでほしいと思う。

 

本を全く読まなかった学生時代の反動か、いまでは本を比較的たくさん読むようになり、古く、読まなくなった本は徐々に手放すようにもなった。それでも、この本を手元にずっと置いておきたいと思うのは、取材を通して京都の「本当」を伝えた大学時代の友人との接点を持ち続けたいという気持ちと、本と自分とを結びつける物語をずっとかみしめていたいという気持ちがあるからだ。

 

(※)

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